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列車の旅 高山列車アンディアン・エクスプローラーに乗って、クスコからプーノへと移動した。オリエント急行の会社が運行するだけあって、食事もサービスも一流だ。乗り心地もさることながら、窓の外に広がる景色は壮大で、片時も飽きることがなく、あっという間の10時間だった。
午前7時15分。旅行代理店の送迎車で、クスコのワンチャク駅に到着した。朝の光がきらきらとまぶしい。係の人にスーツケースを預け、案内された客車に乗った。時間が早かったため、乗客はしばらく私だけだった。
アンディアン・エクスプローラーは4両編成で、先頭のディーゼル機関車に厨房車が続く。いちばん後ろの車両には談話室や洗面所がある。客車は真ん中の1両だけだが、お客さんがもっと大勢いる時は、2両、3両と連結して増やすのだろう。 片側のテーブルはすべて4人掛けだった。もう片方の側には1か所だけ1人掛けがあり、残りはすべて2人掛けだった。チケットでは、私の座席は4人掛けの中の一席になっていたが、乗務員さんに尋ねてみたところ、1人掛けは空席で、移っても構わないとのことだったので、そちらに移動した。 他のお客さんの姿が見え始めたと思ったら、いつの間にか満席になっていた。8時ちょうど、鐘の音を合図に車体が動き始めた。
クスコの郊外に出るまで、列車は徐行しながらひっきりなしに警笛を鳴らしていた。にわとり、犬、ぶぅ、牛など、線路に入り込んだ動物を追い払っているのだろう。地元の人にとっても、線路のすぐ脇まで生活の場だ。片手に湯気の立つスープのお皿を持ち、朝ご飯のパンをかじっているお兄さんたち。木の枝を振り振り犬を追いかける男の子。走っている列車にこんなに近づいてだいじょうぶ?と心配になるほどだ。
季節は穀物の収穫期。トウモロコシが黄色くカラカラに干からび、茎の中ほどには、熟した真っ黒な(!)実がのぞいている。刈り取られたキヌアかキウィチャが、赤い穂をつけたまま横倒しになっている。金色の麦の穂が、風にしなやかに揺れている。 アンデスの高地には高い木がほとんど生えていないため、植林されたユーカリがよく目立つ。ユーカリは家の建材になるほど丈夫ではないが、たきぎやちょっとした木材には重宝なので、人家の周りにはたくさん植えられているという。 おもしろい集落を見つけた。大きな集落なのだが、街全体でアドベ(日干しレンガ)を作っているのだ。開けた場所にはレンガがきれいに並べられ、天日で干されていた(左上の写真)。自分たちで作ったものを使っているのだろう、どの家も、壁も屋根瓦も塀もすべてアドベでできている。アドベ造りのおうちは珍しくもないが、これほどまで何もかもアドベ一色という集落はここだけだった。
空港のあるフリアカを除けば、シクアニは沿線でいちばん大きな街だろう。広々した目抜き通りには、カラフルな建物が並んでいる。通りには自動車は1台も見かけない。その代わり、タクシー自転車やタクシーバイクがたくさん走っている。海抜は、3,400mのクスコを出たあと3,000mまで下がり、再び上昇する。シクアニまでくると3,500mを超えている。 シクアニはじめ、いくつかの街で駅舎らしい建物を目にしたが、各駅停車のローカル線もあるのだろうか。あるとしたら、そちらにも乗ってみたいものだ。
街中ではのんびり徐行していた列車は、郊外に出るやいなや、再び速度を上げた。一時停車することになっているラ・ラーヤ駅は、もうすぐだ。小さな村は相変わらずあちこちに見えるが、平地はますます広くなり、空は青さを増してきた。 右の写真:背丈の低い草が覆う山肌に、雲が影を落とす。ビロードの上を黒い生き物が這っているようだった。シクアニ南にて。 ![]() | ||||||||||||||||||||