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クスコ&プーノ

聖なる谷
The Sacred Valley of the Incas


クスコを出て、山道を走ること1時間足らず。展望台に立つと、眼下に「聖なる谷」が始まっていた。

聖なる谷

温暖な気候と肥沃な土に恵まれた谷が、ピサックからオヤンタイタンボまで、東西60kmに渡って広がっている。ユカイ谷、別名「聖なる谷」だ。聖なる川ウィルカマーユ(ビルカノータ川)が刻んだこの谷は、北は5,000mを超える峰々と、南はチンチェーロの村に代表される、美しい田園地帯にいだかれている。インカはこの谷に大きな愛着を感じて直轄とし、代々の王は、それぞれ別荘を建てては保養に訪れたという。

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ピサックの市 Pisac

聖なる谷とその周辺の略地図

聖なる谷の観光は、ピサックの青空市でスタートした。花よりだんご。食べ物の写真でまとめてみた。

とうもろこしとうもろこし
色とりどりのトウモロコシ。インカは作物の品種改良にも力を入れた。白いトウモロコシは、インカが作り出した品種の中でも、高地での耕作に最も適した種だそうだ。ピサックでは大ナベでゆでて売っている。甘くておいしいという話。1粒の大きさはソラマメほどもある。ゆでとうもろこし
トウガラシくだもの屋さん
ピサックの市

左上の写真はトウガラシ。カメラがくしゃみしそうな、辛そ〜な色つや。右上はくだもの屋さん。

左の写真は市のひとコマ。右端の女性のような、美しい民族衣装を着た人も時々見かける。

オヤンタイタンボ Ollantaytambo

聖なる谷とその周辺の略地図

太陽の動きと、山や岩など周囲の景観とを組み合わせて、インカは壮大なカレンダーを考案した。冬至の朝、どこそこの岩の上から日が昇るとか、春分の日にはどこそこの石の影が日時計の役割を果たすといった話が、オヤンタイタンボにはたくさんある。

オヤンタイタンボは聖地でもある。丘のふもとには水を祭った神殿が、丘の頂には太陽神殿が建っている。観光の一番の目玉は、丘のてっぺんの太陽神殿なのだが、海抜2,700mの薄い空気の中、急な階段を延々と上るのはかなり厳しい。踊り場でひと休みするたびに、同じグループの人たちと「え〜、まだあるの〜?」と、こっそりグチをささやき合っていた。うっかり声に出してガイド氏の耳に入りでもしたら、「なに?リタイアしたい?てっぺんに行ったらイケニエだっ!」との、血も涙もない「激励」が飛んでくるからだ。

オヤンタイタンボオヤンタイタンボ 太陽の神殿入口
↑この急坂。たとえイケニエにされてもリタイアしたかった・・・。↑太陽神殿の入口。サクサイワマーンやクスコのコリカンチャ同様、石のブロックはカミソリの刃さえ入らないくらい、互いにぴったり合わさっている。

チンチェーロ Chinchero

聖なる谷とその周辺の略地図

チンチェーロ周辺の田園

聖なる谷の南側は広大な丘陵地だ。緑濃い畑、金色に染まった収穫間近の畑、刈り取りが終わって、三角の積みわらが並んだ畑。畑の表情は少しずつ違っている。

これは、土地を小さい区画に区切ってグループ分けし、グループごとに同じ作物を育てることによって、最小限の環境負担で最大限の収穫を得ようという、インカが開発した農業技術なのだそうだ。遠くからこうした畑を眺めると、右の写真の湖の奥のように、地面をパッチワークで覆ったみたいに見える。

畑ではトウモロコシ、ジャガイモ、ソラマメ、オオムギ、キヌア(アミノ酸が豊富なアンデス産の穀物)などが栽培されている。

田園に囲まれた、ユーカリ林がひときわ濃い丘に、チンチェーロの村がある。インカの時代には太陽神殿が建っていたが、スペイン人によって神殿は取り壊され、代わりに教会が建てられた。

チンチェーロの市ランプの影
↑教会の下の広場には市が立つ。「チンチェーロ・ナランホ」(チンチェーロ・オレンジ)と呼ばれる伝統色を使った、手織りの布などが売られている。↑チンチェーロの教会の白壁に、夕日がランプの絵を描いた。

山の精霊アプ Apu

聖なる谷とその周辺の略地図

アンデスでは、聖なる山には「アプ」という精霊が住むと信じられているが、精霊はどんな小さな山にも住んでいるのではないだろうか。山に限らず、聖なる谷の美しさは、ありとあらゆる場所に精霊が宿っていることを確信させる。

チコーン
↑チコーン Chicon/Chicón 5,530m

ピトゥシライ(たぶん)雨の神様とされる山
↑ピトゥシライ(Pitusiray 5,750m)ではないかと思う。↑地元の人は、カエルに似たこの山を、雨の神様として祭っている。映画「スター・ウォーズ」のジャバさまに見えると言ったら、バチが当たるかな。

夕方5時半。チンチェーロを離れ、クスコへの帰途についた。太陽はすでに山の向こうに低く隠れて、冷涼な空気はますます冷たさを増していた。それまで雲に覆われていて、なかなか見えなかったワカイ・ウィルカが、ようやくほんの少しだけ頂を現した。この谷に立ち、この山を目にして初めて、「ワカイ・ウィルカ=太陽の涙」というケチュア語の響きが実感できた。

ワカイ・ウィルカ
↑ワカイ・ウィルカ。スペイン語名の「ベロニカ」で呼ばれることが多い。 Wacay Willca/Veronica 5,750m

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