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切り株


年明けてすぐだったと思う。苑の方がサクラの幹を木槌でこんこん叩いて回っていた。木槌の反響を聞きながら、木の内部に異常がないか確認していたのだろう。

昨秋から今冬にかけて、新宿御苑では真新しい切り株がたくさん出現した。サクラも生き物なので、病気にかかったり、根っこがキノコに蝕まれたりして弱ることがある。来苑者に倒れかかるような事故があってはいけないので、手当ての施しようがないとわかると、早めに傷んだ枝を落としたり、傷み方によっては根元から切るそうだ。

前シーズンのみごとな花やつややかな葉を知っているだけに、切り株になった姿を見るのは辛い。ただ、木がまだ元気なうちに枝を取り、接ぎ木で育てられていると知って、ほっとする。すでに立派に成長し、花をたくさんつける木もある。今年もそうした花が楽しめたし、これからも楽しませてくれるに違いない。植物のいのちをつなぐのは、経験や根気のいる仕事だろう。お世話をする方々のご苦労を思うと頭が下がる。

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ショウゲツ


2015年10月7日 切り株になっていた


 2015年4月17日、五部咲き。枝がほとんど切り払われて、幹だけ残った木だった。花束を手にたたずんでいるような姿が印象的だった。


2015年4月17日



2015年6月2日


すぐ近くにある若い木No.9と、インフォメーションセンター南のNo.10は、ショウゲツとして育てられている。この春、どちらもたくさん花をつけた。切り株になったショウゲツが穂木(接ぎ木で、台木の上に接ぐ木のこと)だろうか。


サトザクラ

新宿御苑で私が知っているサトザクラはたった1本だった。今年の桜歩きで心残りを一つ挙げるとすれば、サトザクラの開花が見られなかったことだ。あとの祭りだが、切り株になったもの以外にサトザクラがあるのか、あるとすればどこに植わっているのか、開花時期の前に確認するべきだった。


2016年1月5日 切り株になっていた



2015年3月31日、この年の花を初めて見た。



2015年4月2日 散り初め



2015年5月8日 葉の間に赤い実が


 2015年10月9日。幹とは名ばかり、まるで樹皮だけで生きているような木だった。

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