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キンデルダイクの風車群



オランダの風物詩といえば、チューリップと風車がいちばん有名だろう。その風車を眺めに、アムステルダムから列車と路線バスを乗り継いで、キンデルダイクへ行った。キンデルダイクにはオランダ最大の風車群があり、「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」という名前でユネスコ世界遺産に登録されている。

キンデルダイクでは1740年ごろ、干拓地の排水のため19基の風車が建設されたそうで、今も運河に沿って同数の風車が立ち並んでいる。風車はどれもとても大きい。建物も高ければ羽根も長くて驚いた。以前、ベルギーのブルージュで見た風車は小麦の製粉用だそうで、ずっと小型だった。土地の排水が目的ともなれば、建物も仕掛けも大掛かりになるのだろう。

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キンデルダイクへ

アムステルダムからキンデルダイクへ行く手段はいくつかあるが、交通機関の乗り換えが少なくて済むことから、オランダ鉄道の列車でユトレヒトまで行き、路線バスに乗ることにした。アムステルダム市内のトラムでの移動も含めて、片道の所要時間は約3時間、往復の交通費は1人16.81ユーロ(2,235円)だった。

↑ユトレヒト中央駅の改札の一つから、バスターミナルCのりばへの出口を眺めて。目的のバスは、アリーヴァ社が運行するロッテルダム行き90番バスで、Cのりばから発着する。

↑駅構内からCのりばを見下ろして。改札を出てCのりばへの階段を下りたら、駅舎の下に戻るように(写真の右手方向に)進むと、90番バスの停留所がある。

交通機関の乗り換えがうまくいったため、乗車予定のバスの発車時刻よりかなり前にCのりばに到着したら、ちょうど1本前の90番バスが出発するところだった。予定していた便に乗ればいいことなので、急いだりしなかったのだが、いかにも観光客らしい私たちに運転手さんが気づいたようで、ありがたいことにバスを止めて待っていてくれた。乗車の際、運転手さんにキンデルダイクの停留所「モレンカデ」に止まることを確認したのだが、キンデルダイクの近くまで来たら、「左手に風車が見えるよ!」と教えてくれた。行く手の遠くに、楽しみにしていたオランダの風車が並んでいた。旅行前はキンデルダイクに行き着く自信がなく、やめておこうかとも思ったが、アリーヴァの運転手さんのおかげで、「やっぱり来てよかったなぁ」と感じた。

 ↑バス停「モレンカデ」。キンデルダイクの風車群へと通じる道の入り口にある。

アムステルダム~キンデルダイク間の運賃は、オランダ鉄道を除き、すべて交通系ICカード「OVチップカード」で支払った。オランダ鉄道でもOVチップカードは使えるが、乗車時の残高が20ユーロ以上必要との条件が足かせになった。キンデルダイクへの小旅行を含めて、滞在中に利用する交通機関について検討したところ、上述の条件をクリアするとなると、2人合わせて何十ユーロもOVチップカードに残したまま帰国、という「とほほ」な結果になることがわかったからだ。5年間有効とはいえ、再訪の決まっていない外国の交通系ICカードにお金をたくさん残すのはあまりにもったいないので、OVチップカードで支払うより高くなるが、オランダ鉄道だけは切符を買って乗車した。


キンデルダイク入り口

バスを降り、おみやげ屋さん(上の写真)の脇を進むとチケット売り場がある。チケットを買えば、博物館にもなっている風車の内部を見学したり、キンデルダイクの歴史などを紹介する映画を視聴することができる。一方、風車を眺めながら歩くだけ、または自転車で通行するだけなら無料だ。チケット売り場の南隣にカフェがある。その先にはお店やお手洗いはない。


↑手押し車と木靴の意外なコラボ。おみやげ屋さんの前にて。



↑自転車は左、歩行者は右。



↑丸太の駐輪場


風車

チケット売り場から南端の風車まで、片道約2.2km。相変わらずののんびり歩きなので、往復するのに1時間40分もかかった。ときおり霧雨が舞い、東京の11月上旬ごろの肌寒さだった。背の高いアシがさらさらと風に揺れ、水面にはスイレンが開くオランダの初夏。晴れていれば風車ももっときれいだっただろう。







↑ただいま修復中。風車の長い歴史の中でこうした光景は一瞬だと思えば、むしろ珍しい。







お昼ご飯

おみやげ屋さんの隣のレストラン「ブエナ・ヴィスタ」でお昼ご飯にした。ジュークボックスの両脇には、古いラジオが天井までぎっしりと積まれている。お店の雰囲気もステキだが、何より驚いたのは、グリムベルゲンというベルギーのビールが飲めたことだ。7年前、ベルギーのホテルのバーでマスターにお勧めのビールをお願いしたら、グリムベルゲンが出てきた。その時のおいしさが忘れられず、旅先では必ず探していたのだが、キンデルダイクに来るまで出会うことがなかった。ようやく再会できたこの日、運河の小道で寒さに震えたことなんてすっかり忘れて、風車とグリムベルゲンに乾杯した。

お会計の時、ママさんから「おいしかった?」と日本語で聞かれて、二度びっくり。




 ↑グリムベルゲン・ブロンド。アルコール度数6.7%を感じさせない、すっきりした飲み心地。

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