サン・ジョルジェ城 高い丘の上に立つサン・ジョルジェ城を見学した。威風堂々、堅牢で古めかしい中世のイメージそのものの城塞だが、パンフレットなどを読んで、多難な歴史を経てきたことがわかった。 紀元前2世紀ごろ、この地に初めて砦が築かれたといわれる。1147年のアフォンソ・エンリケスによるリスボン征服後は、ポルトガル国王の居城となって増改築が繰り返された。だが、16世紀に入ると、王の居城としての役割はリベイラ宮殿に移り、スペイン統治下では軍事要塞となった。1755年のリスボン地震で大きな被害を受けても再建されることはなく、長い間、放置されたままだった。 20世紀になって国の史跡に指定され、やがて修復も始まった。リスボンの街が一望できることもあって、今では人気の観光スポットになっている。 サン・ジョルジェという名前は、14世紀末、国王ジョン1世が竜退治で有名なセント・ジョージを守護聖人として祭ったことに由来する(セント・ジョージはポルトガル語読みで「サン・ジョルジェ」)。それ以前は「アルカソヴァ宮殿」(Paço da Alcáçova)と呼ばれていたそうだ。
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