ポルト歴史地区とガイア 1 ポルトの旧市街は、「ポルト歴史地区」としてUNESCO世界遺産に登録されている。宿泊先ホテルは旧市街の南端、ドウロ川に面した場所にあり、川沿いの美しい街並みを徒歩で楽しむのに格好の立地だった。 ホテルから歩いてすぐのところに、ドウロ川にかかる橋の一つで、ポルト市とヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア市(以下、ガイア)を結ぶルイス1世橋があった。上下2段の大きな鉄橋で、上はメトロ(地下鉄)D線の地上部、下は車道だ。上下とも両側に歩道がついている。雨上がりの朝、下の橋からガイア側に渡った。川沿いの道をぶらぶらしたあと、ワイン貯蔵所の赤い瓦屋根を見下ろしながら坂道を登り、丘の上を目指した。 ところで、ポルトで生産されるのでポルトワインというのだと思っていたが、正確には少し違うようだ。製品としてのワインを輸出したのがポルトの港だったことから、ポルトワインと呼ばれるようになったそうだ。今でもブドウの栽培、ワインの醸造、出荷はそれぞれ別の場所で、ドウロ川の上流でとれたブドウをワインとして樽詰めしたあと、ガイアまで運んで熟成させ、ポルトから出荷している。50年ほど前までは、「ラベーロ船」と呼ばれる川船で産地からガイアまで運んでいたが、ダムの建造によって船は航行不能となり、トラック輸送に変わったそうだ。 ルイス1世橋を渡ってガイアの岸辺へ
ラベーロ船とポルト歴史地区 ガイアの岸にはラベーロ船がたくさん停泊している。展示用だそうだ。ワイン樽を満載してドウロ川を下った往時がしのばれる。
ワイン貯蔵所の赤い屋根 川岸からルイス1世橋のたもとまで戻り、丘の坂道を登った。道路脇の建物が途切れると、赤い瓦屋根が波打って現れた。ワイン貯蔵所の屋根だった。ポルトワインがこの下で熟成の時を重ねているのだ。
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