グランジ画を作る「グランジ」(grunge)という言葉には、「薄汚い」という意味があるようです。確かに、できあがった絵を見ると、もやもやして何やら小汚い感じがしないでもありませんが、重ね塗りしたブラシの陰影が醸し出す、一風変わった墨絵のような効果が楽しめます。 ところで、「グランジ画」というのは筆者が勝手につけた名前です。主に背景用の絵として作られることから、英語ではよく“grunge background”と呼ばれています。 これから次のグランジ画を作ります。この画像も含めて、見本はどれも半分に縮小してあります。 おおまかな手順は次の通りです。
次の設定で新規に画像を開きます。背景用の画像として利用できるよう、大きめに作っておきます。
dキーを押して、描画色と背景色をデフォルトの#000000(黒)と#ffffff(白)に戻したら、メニューバー[フィルタ]→[描画]→[雲模様1]を実行します。 フィルタ[雲模様1]の結果が、色の濃淡に最も大きく影響します。一度[雲模様1]を実行してみて、おもしろ味に欠けるようなら、気に入ったもやもやになるまでCtrl+fを実行するといいでしょう。Ctrl+fは、直前に実行したフィルタを繰り返し実行するコマンドです。
1) 新規レイヤー[レイヤー1]を作成します。 2) ブラシツールから、グランジ画用のブラシを選びます(右の囲み参照)。 続いて、オプションバー右隣にある[ブラシ]タブを押して(もしくはメニューバー[ウインドウ]→[ブラシ]を選んで)ブラシパレットを開き、次のように設定します。
ブラシのマスター直径が大きくても、サイズを下げたりせず、そのままの大きさで使います。この作例でも242pxの大きなブラシをそのまま使っています。
3) 描画色を#ffffff(白)に設定したら、ところどころ重ね塗りしながら、画面いっぱい、白のブラシで気の向くままに塗りたくります。 4) 新規レイヤー[レイヤー2]を作成します。 5) dキーを押して描画色を#000000(黒)に設定したら、今度も同じブラシで塗りたくります。 6) [レイヤー1]と[レイヤー2]の描画モードを[ソフトライト]に変更します(「レイヤーの描画モードを変更する」参照)。次のような白黒のグランジ画ができました。
1) 色がきれいに出るよう、画像の明るさを微調整しておきましょう。ただ、明暗も好みのうちなので、この調整は省略しても構いません。 いちばん上のレイヤー[レイヤー2]を選択したら、メニューバー[レイヤー]→[新規調整レイヤー]→[明るさ・コントラスト]を選びます。[新規レイヤー]という小さなダイアログボックスが開きますが、何も手をつけずに、デフォルトのまま[OK]ボタンを押します。続いて、[明るさ・コントラスト]ダイアログボックスが開きます。[明るさ]のスライダを左右に動かして、好みの明るさに調整します。画像にもよりますが、少し暗めにした方が、あとで色を付けたとき発色がきれいになるようです。次の設定例にもあるように、この作例では[明るさ]を-10にしました。 [OK]ボタンを押すと、レイヤーパレットのいちばん上に[明るさ・コントラスト1]レイヤーが作成されます。 2) [明るさ・コントラスト1]の上に、新規レイヤー[レイヤー3]を作成します。 3) グラデーションツールを使い、好みのグラデーションで塗りつぶします。 4) [レイヤー3]の描画モードを[ソフトライト]に設定します。ページ冒頭のグランジ画のできあがり。 レイヤーパレットは最終的に次のようになりました。
作例のグランジ画を利用して、こんなバナーを作ってみました。テキストにも同じグランジ画を使っています。 最終更新:2007年7月17日 |