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ヨセミテ国立公園


雄大な自然で知られるヨセミテ国立公園は、カリフォルニア州東部、シエラネバダ山脈の西斜面に位置する。サンフランシスコ発着の日帰りツアーのバスに揺られてヨセミテまで、東京〜仙台間とほぼ同じ片道300kmの距離を往復した。

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東へ

午前7時半、日本人のお客さんで満席の50人乗りの観光バスは、ヨセミテ国立公園に向けてサンフランシスコを出発した。ガイドさんは日本人で、運転手さんは日本語の堪能な日系人だ。

↑新しいベイブリッジを渡りながら、解体途上にある古いベイブリッジを望む。完全になくなるまで、あと2年かかるそうだ。

↑アルタモントの峠のウィンドファーム。写真の風車はほんの一部で、遠くの丘の斜面に、トゲのようにちくちくと密集しているのが見えた。

↑アルタモントの南の丘陵地。丘は枯れ草に覆われ、まるで砂漠のようだ。このあたりからシエラネバダ山脈のふもとにかけて、農業地帯が広がる。

↑ひょろ高くなる前のヤシ。焦げ茶色のふさふさにくるまれてぽっちゃり。

↑長い長い貨車の列を、ディーゼル機関車が4、5台連なって引っ張っていく。ガイドさんいわく、「80両まで数えてやめました」。

↑小休止で立ち寄ったパーキングエリア。長距離トラックの休憩所にもなっていて、自動車の部品や修理道具が売店の一角を占める。

↑上記売店の飲み物サーバー。青帯のカップはコーヒー用で、手前・下2つは超特大XLサイズ。深さは30cm近くある。これで$1.75(215円)はお得だなぁ。

↑サンフランシスコを発って3時間。農業地帯が終わり、標高が少しずつ上がってきた。荒地にごつごつした黒い岩が目立つ。目的地のヨセミテ渓谷まであと1時間。

↑ツアーは昼食付きで、2回目の小休止の時、お弁当とペットボトル入りの水が配られた。アメリカにいることを忘れるくらい、ごくフツーの幕の内弁当。渓谷の休憩所に着いてからお昼にするお客さんもいたが、私たちは到着後すぐに散策に出かけたかったので、バスの中で平らげてしまった。煮物や海苔の香りに我慢できなかった、というのが本音だけれど。

渓谷の奥へ

ヨセミテ渓谷は氷河に削られてできた谷だそうだ。渓谷を取り囲むように、とてつもなく巨大な花崗岩がそそり立つ。マツやスギの濃緑に、岩山の明るい灰色が際立って美しい。バスは眺めのいい駐車場に停車しながら、谷底を流れるマーセド川に沿って渓谷の奥へと進んだ。

↑ヨセミテ国立公園に入った

↑左手の絶壁は高さ900mの花崗岩の一枚岩、エル・キャピタン。山頂は海抜2307m。その向かいの、傾いたように3つ連なる岩山はカテドラルロック。正面奥にハーフドームが小さく見える。トンネルビューと呼ばれる展望台より。

↑一つ前の写真と同じ場所をズームで写す。正面奥の、丸い石を縦半分に割ったような岩山がハーフドーム。

↑エル・キャピタンの南西面。トンネルビューから10分ほど進んだ駐車場にて。

↑ブライダルベール滝。風に吹き流された水が花嫁のベールが揺れているように見えることから、この名前がついた。乾季の今はただでさえ水量が少ないのに、カリフォルニアは4年越しの干ばつで、ブライダルベール滝はじめ、ヨセミテの滝はどこも水が枯れかけているそうだ。運のいいことに、まさに風に舞うベールのようなシーンを写真に収めることができたが、実は、水があるのは滝口だけで、ちょろちょろと下った貧弱な流れは絶壁の途中であらかた蒸散し、岩を黒く染めて滝の名残りをとどめるだけになっていた。

ヨセミテ渓谷ビジターセンター周辺

正午、渓谷最奥部の少し手前に位置する「ヨセミテ渓谷ビジターセンター」に到着した。カフェや売店もある大きな休憩所だ。海抜1200m。ツアーは1時間半弱の自由行動となったのだが、この日、ガイドさんもびっくりするくらい観光客が大勢いたのに、3か所ある洗面所のうち1か所が全面使用禁止だったため、後述の穴場散策のあと、トイレ行列だけで貴重な自由時間が終わってしまった。

↑ビジターセンターの西の岩山

↑ハーフドーム。2693m。ビジターセンターから10分弱。ガイドさんが穴場のこの場所を教えてくれた。

↑ノースドーム。2294m。上述の穴場に行く途中で撮影。

↑いろいろな熟し段階の松ぼっくり。iPhone5sもおびえる巨大さ。

渓谷最後の一時下車

ツアー案内にもガイドさんの話でも、「駐車スペースが限られているため、場合によっては車窓観光になります」との断りがあったが、幸い、どのスポットでも下車した上で観光することができた。次の3枚の写真は、ヨセミテ渓谷を離れる間際、そうした駐車場の一つで撮ったものだ。

↑マーセド川の向こう、左はエル・キャピタン。右はカテドラルロック。

↑カテドラルロック

↑エル・キャピタン

特産品

帰りの小休止は1回で、マーセドの町の郊外にある農産物販売店、「マーセド・フルーツバーン」に立ち寄った。私たちと同じく、ヨセミテ渓谷からの帰りらしい観光バスが何台も止まっていて、ここでも洗面所の前に長い行列ができていた。10分ほどの休憩時間はトイレの順番待ちでほぼ終わってしまい、名産のアーモンドをひと袋つかんでレジ前の行列に並ぶのがやっとだった。野菜のパテ、ジャム、はちみつ、ドライフルーツなどなど、楽しげな商品が所狭しと並んでいたのに、手に取る余裕もなかったのは残念だ。

↑特産品のアーモンド。無塩タイプ。1ポンド入り$11(453g、1,353円)。甘味があり、新鮮でとてもおいしい。マーセド周辺はアーモンドの産地で、ちょうど収穫期だった。アーモンド林の真ん中から土煙がもうもうと立ち昇っているのをよく見かけたが、実をふるい落とすために、機械で枝をつかんで強く揺さぶっているからだそうだ。

サンフランシスコ着

アルタモントの丘の草原は、夕焼けに染まって赤く燃えていた。ベイブリッジに着くころ夕焼けはほぼ消えて、夜空に変わりつつあった。橋の向こうに見えるサンフランシスコの街は、大都会なのにビルの明かりが極端に少なく、意外に感じたが、これは全市挙げて省エネに努めている結果だそうだ。東日本大震災をきっかけに、我が家も節電に努めてきたつもりだが、まだ何かできることがあるかもしれない。サンフランシスコの静かな夜景を眺めながら、ふと思った。

さて、午後7時半、無事、サンフランシスコに到着し、ツアーは解散となった。私たち乗客にとっては丸一日の楽しいバス旅行だったが、運転手さんはゆっくり休む時間なんてなかったはずだ。長距離運転、お疲れさまでした。


ツアーを利用

ヨセミテ観光では、JTBの日本語ガイド付き現地オプショナルツアーに参加した。同社ではパッケージツアーだけでなく、こうした現地発着のツアーも扱っている。サンフランシスコ旅行のひと月ほど前、インターネットで今回のヨセミテツアーを予約した。

観光当日は、朗らかでサービス精神旺盛な日本人の女性ガイドさんが案内してくれた。行きは4時間もの間、カリフォルニアの気候や現況、日本との関わりについて熱心に話をしてくれて、飽きることがなかった。ヨセミテだけでなく、通過する街や地域の産業についても詳しく、車窓から流れていってしまいがちな風物も、おかげで思い出に残るものになった。渓谷に着いた時、ハーフドームがきれいに見える穴場を教えてくれたのも、こちらのガイドさんだった。

ひと口にヨセミテ国立公園といっても広大で、一日観光の場合、私たちが参加したツアーのように、公園の一部であるヨセミテ渓谷から絶壁や滝を眺めるのが一般的のようだ。ヨセミテの最高の景色を楽しめることは間違いないが、日帰りでは時間の制約が大きく、どうしても駆け足になる。いつか、宿泊しながらゆっくり山歩きに訪れたいものだ。

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