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乗り物


徒歩観光の強力な味方、公共交通機関。サンフランシスコでもずいぶんお世話になった。

「サンフランシスコ」もくじ

BART

BART(バート)はサンフランシスコと湾岸の各地域とを結ぶ高速鉄道で、サンフランシスコ国際空港にも乗り入れている。ここ数年、サンフランシスコでは不動産の価格が高騰し、市内はあきらめて近郊に家を買う人が急増していることから、BARTも郊外へ郊外へと延び続けているそうだ。ガソリンの値段は日本よりずっと安いし、車社会のアメリカでは自家用車はタダ同然だろうなんて思っていたら、保険やら何やら維持費がかさむのは日本とまったく同じで、時間はかかってもBARTで通勤する人が増えているとも聞いた。

さて、知らない土地の乗り物は乗るまでが大変なので、旅行前に必ず切符の買い方を調べている。サンフランシスコ空港到着後、BARTに乗って市内へと向かったのだが、この時ほど下調べをしておいて良かったと思ったことはない。BARTの発券システムは「ややこしい」。このひと言に尽きる。地元の人にもかなり不評らしいから、一時滞在者の私たちがまごついたからといって、恥じることはないのだ。リンク集に参考ページへのリンクを作ったので、具体的な手順はそちらをご覧いただくことにして、難中の難だけお示ししようと思う。

  • 目的地までの運賃ぴったりか、小銭の持ち合わせがなければ、運賃に限りなく近い金額のお札を入れるべーし。画面の「お釣りの上限は$4.95」との但し書きには、コトを複雑にしかねないキケンな香りが漂う。お世辞にも融通の効くシステムとは言い難いので、券売機で100ドル札を崩そう的な大冒険はやめた方がいいと思います、ハイ。
  • 券売機にお金を投入すると、画面のてっぺんに投入金額が、そして、その下にもう一つ金額が表示される。お釣りが欲しければ(当たり前か)、下の方の金額が運賃ぴったりになるまで、$1減額ボタン、もしくは5セント減額ボタンを連打すべーし。←コレがいちばんややこしい&複雑怪奇。
  • お釣りはコインのみ。通常、$1ならクォーター(25セント玉)が4つ出る。$3なら12個じゃらじゃら落ちてきて、たちまち大「小銭」持ちになる。時々、黄色っぽい1ドル硬貨が混じることがあって、「数が足りないぞ、さては誤魔化したな」とあらぬ疑いをかけ、それが1ドル硬貨だとわかったあとも、初めて見た時は外国のお金じゃないかと疑ってしまった。BART、ごめん。

このように、現金で購入するとなると緊張と戸惑いと疑惑(?)の連続だが、クレジットカードならもう少し気楽に買えるのではないだろうか。

この券売機、さらに都合の悪いことに不具合が頻繁に起こるようで、「使用中止」の貼り紙が張ってあったり、画面にそう表示されているものをよく見かける。極端な話、3台並んでいたら1台は使えないと思った方がいいかもしれない。実際、ある段階まで操作したら勝手にリブートし、どこかで見た真っ黒な画面に続いて、'Windows 2000'のロゴがにぎにぎしく現れた。「サポート終了しているOSなんて使ってるからだよ」と罵りつつも、これを3回見るまで、今度こそ直るだろうと期待しながらその券売機を操作し続けた私って、意外と我慢強いかも。

↑無事、空港から市内への切符をゲット。上出来のBART券売機デビューが果たせたのも、写真入りで詳しく手順を教えてくれた上述のページのおかげだ。

↑ホームに入ってきたBART。編成によっては、長いホームのどこに停車するのか注意が必要だ。窓がスモークであるため、日本の電車に比べると車内は少し暗く感じる。夜間も含めて何度か利用したが、不安を感じるようなことは一度もなかった。車内は広々していて、割ときちんと手入れがされている(乗った車両がよかったのかな)。ドアの脇に自転車用のスペースがあり、自転車といっしょに乗ってきて自転車といっしょに降りていく乗客の姿が珍しかった。

Muni

サンフランシスコ市営交通局が運営する交通機関は、Muni(ムニ、またはミュニ)と呼ばれている。Muniバス、Muniメトロ(地下鉄)のほか、名物のケーブルカーや路面電車もMuniだ。

Muniは何度も利用する予定だったので、サンフランシスコに到着したその日のうちに、乗り放題の乗車券'Muni Passport'の7日間有効券を買った。1枚$35(4,305円)だった。ケーブルカーは観光向けなので、バスやメトロと比べると運賃は割高で、片道$7だ(861円)。ケーブルカーだけでも、フィッシャーマンズ・ワーフ方面の観光で何度も乗ったので、乗り放題券は結果的に安上がりだった。

Muni Passportは月と日がスクラッチになっている。最初の乗車日から始めて、有効期間分の日数を削り取った上で使用する。路面電車やバスの場合、運転手さんに提示した上で乗る。ケーブルカーは改札に回ってきた車掌さんに見せる。メトロなら、乗り降りいずれも自動改札機脇のブースにいる係員さんに提示する。

↑Muni Passportは二つ折り。左の写真は表紙。右は開いた様子で、9月16日から7日分、スクラッチしてある。7日券のほかに1日券と3日券がある。

↑パウエルストリート駅入り口のチケットブース。Muni Passportなどを扱っている。

 ↑Muniの停留所。てっぺんの赤いマークが目印。

↑一般的なバスのほか、トロリーバスも走っている。

↑メトロN線。地上部を走行中。

↑メトロ・パウエル駅の改札。BARTパウエルストリート駅と同じ構内にある。

ケーブルカー

サンフランシスコ名物のケーブルカーもMuniだ。3本の路線のうち、南北方向に走る2路線に乗った。どちらも市の中心から急坂を上り下りしながら、海岸のすぐ近くまで走っている。終点まで来るとお客を降ろし、次の出番が来るまで車両の列について待機する。発車時刻になると、先頭の車両はターンテーブルまで移動する。係員さんが2、3人で押し回して向きを変えると、乗車が始まる。どのターンテーブルでも、乗車待ちの人が長い行列を作っていた。夏休みがほぼ終わった9月中旬でさえ30分待ちは当たり前なのに、7月、8月はいったいどのくらい待てば乗れるのだろう。

↑ターンテーブル。パウエル・ハイド線の北の起点。

↑パウエル・メイソン線とパウエル・ハイド線の南の起点。メイソン線が方向転換中。1kmほど進んだ所で、線路はメイソン線とハイド線とに分かれる。

↑車両の後端には、革でくるまれたこのようなハンドルがついている。車掌さんはこのハンドルを操作する合間に、改札のため車内を回る。車両の前部では、運転手さんが床から突き出た長いレバーを操作する。

↑立派なカメラを持っていても、車両後端のハンドルの隣は写真撮影の特等席、ということに気づく人はほとんどいない。カメラを抱えて物欲しそうな顔をしたら、どの車掌さんも「ここならいいよ」とハンドルの右側を空けてくれた。乗車中、坂道の線路を正面から撮れる場所は、ここをおいてほかにはないのだヨ。

↑ターンテーブルの近くでは、必ずといっていいほど路上ライヴが聴けるので、乗車までの長い待ち時間もそれほど退屈しないで済む。パウエル・ハイド線の北の起点にて。

路面電車F線

Muni F線は、海岸のフィッシャーマンズ・ワーフと内陸のカストロ地区とを結ぶ路面電車だ。もともとアメリカ国内や外国で走っていた車両を再利用しているそうだ。どうりで古めかしいものばかりだ。色も形もそれぞれ違うので、今度来るのはどんな電車だろうと観察するのも楽しい。車体の乗降口側や車内に、出身地である都市の名前が書かれている。


↑車内。この車両はイタリアのミラノから来たようだ。

↑F線の照明。レトロだ。

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