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テオティワカン

陽気に物見遊山
Jolly Journey in Mexico

「テオティワカン」もくじ

果たして、薬のせい?

メキシコ・シティ滞在3日目の夜、いつまでも目が冴えて眠れなかった。長時間のフライトで快眠を楽むために、市販の入眠薬を持ってきていたが、飛行機の中で眠ること以外、薬に頼りたくなかったので、飲もうかどうしようか、何度も迷っていた。しかし、ついに時計の針が午前3時を指すのを見て、しぶしぶ入眠薬を飲んだ。日ごろ、まず薬を飲むことのない私は、どんな薬も人3倍よく効く。入眠薬の効果も絶大で、頑固だったまぶたがすぐに緩んだ。

翌朝、目覚まし時計の音で目が覚めたのだが、困ったことに、いつまでも頭の芯が眠っていた。どんなに寝不足していても、朝食が出てくれば両目がくわっと開くのに、その朝だけは、姿勢を保つのもたいへんなくらい眠かった。大きなカップにコーヒーを2回おかわりしても、頭の中にかかった霧は、一向に晴れる気配がなかった。

教会前の民芸品店(チョルーラ)

はりつきそうなまぶたを押し上げ押し上げ、支度だけは何とか整えて、ロビーに降りて行った。ツアーの送迎車が来たので、開いていたドアから車に乗り込んだはいいが、目の前に、どこかで見たことのある丸い輪があった。「あれ、これって何だっけ?」車の外で爆笑が起こって初めて気がついた。丸い輪は車のハンドルで、私が座っているのは運転席だった。

ツアーのガイドさんも運転手さんも、そして、いつもホテルの前で客待ちしているタクシーのおじさんまでもが、「きょうはお客さんじゃなくて、ドライバーなの?」と大笑いしながら、総出でお客さん用の席に案内してくれた。私はといえば、頭の芯はまだ眠っていたので、心のどこかで「う〜ん、今朝は一段とおマヌケだなぁ」と感じてはいても、半分他人事みたいだった。

送迎客は私が最初で、車の中にはだれもいなかったので、大ぼけの目撃者が少人数だったのは不幸中の幸いだが、入眠薬の効果が切れて、少しずつ目が覚めるに従い、恥ずかしさも次第に覚醒してきた。ツアー途中の小休止でガイドさんに、今朝の失態は薬のせいで、普段はもう少しマシだということを、つべこべ言い訳した。彼女はその時は信じてくれたようだが、続く2日間、ツアーでいっしょにいて、もしかしたら、「あの朝、アキコがうっかり運転席に座ったのは、薬のせいじゃない・・・」と確信したかもしれない。

お湯と水

お湯を出そうとしてシャワーの水栓をひねったが、どういうわけか、いつまでたっても水が熱くならない。もう1つの水栓には、Cという表示がある。CはCold(水)のはずだが、ものは試し、こちらをひねったところ、すぐにお湯が出た。

最初にひねった水栓をよく見たら、H(Hot=湯)に見えた表示が、実は、優雅な草書体のFであることに気がついた。そして、「ひょっとしたらこれは英語ではなく、スペイン語ではないだろうか」とも。

世界各地にチェーン展開するホリディ・イン・ホテルではあるが、メキシコなのだから、スペイン語の可能性、大だ。スペイン語だとすると、何という言葉だろう。スペイン語の単語をほとんど知らない私は、Fは予想もつかなかったが、お湯の出たCは・・・。

壁飾りの鐘(クエルナバカ)

おととしペルーに行った時、マチュピチュ遺跡のふもとに、アグアス・カリエンテスという小さな街があって、温泉が湧き出すことから、スペイン語で「Aguas(水)・Calientes(熱い)=熱湯」という名前が付いたと聞いたことを思い出した。Cは、「熱い」を意味するcalienteに違いない。

Fについては、帰国後、スペイン語の辞書を引いて初めてわかった。calienteの対義語として、frío(フリオ。「冷たい」)という単語が載っていた。

アグアス・カリエンテスの地名の由来を知らなかったら、「どーしてC(Cold)でお湯が出るのだあっ〜!」と、水栓をひねるたびに疑惑を募らせていたことだろう。まあ、お湯が出ればそれでいいのだが。

お湯と水についてはめでたく一件落着したが、ホテル滞在中、水を使おうとするたびに感じた、「どーして洗面台とシャワー・ルームの4つの水栓は、ひねる方向が全部バラバラなのだぁ〜!」との疑問は、帰国してしばらく経った今でも未解決のままだ。てきとーに取り付けただけで、特に深いワケなんてないんだろうね。

お巡りさんのお墨付き

道路を渡ろうとしたら、点滅していた青信号が赤に変わったので、前のめりになって、「おっとっとっ!」と急停止した。交差する道路が青信号に変わったのに、信号待ちしていた車は発進しないばかりか、中の人が私に向かって何やら手を振っていた。よく見るとパトカーで、運転席のにっこり笑顔のお巡りさんが、「渡っていいよ!」と合図していた。あとで聞いたところによると、メキシコのパトカーはしばしば歩行者を優先してくれるそうだ。

たとえ歩行者といえども、お巡りさんの目の前で、しかも、お巡りさんじきじきのお勧めにより、堂々と信号無視して道路を渡るなんて経験は、日本では一生のうち・・・一度もないかも。何だかすごく得した気分。思い切りおじぎしながら、赤信号の横断歩道を渡ったのだった。

安全なタクシー

レフォルマ通りの一角(メキシコ・シティ)

午前3時半、帰国のため空港へ行くのに、フロントデスクにお願いしてタクシーを呼んでもらった。悪評高いメキシコ・シティのタクシー強盗は、観光業のホテルにとっても大きな問題らしく、こちらから念を押すまでもなく、フロントデスクの人が「このタクシー会社なら、女性一人でもまったく安心して乗れます」と、太鼓判を押してくれた。

その言葉通りの運転手さんだったが、空港まで行くお客を乗せているからだろう、かなり飛ばしていて、窓から見える街灯が、びゅんびゅん後ろに流れていった。「いったい何キロ出ているのかな?」と、こっそり速度計をのぞいたら、針がゼロを指したまま停止していた。こ、こわれてる・・・。強盗安全はもちろん、交通安全もお願いしたいものだ。

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