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夜叉神峠

のぼり・くだり


「夜叉神峠」もくじ

登山バスで峠の入り口へ

午前4時ちょうど発の登山バスに乗るために、余裕をみて、3時20分ごろ、甲府駅南口のバスターミナルへと向かった。停留所に着くと、すでに10人近いお客がいた。植え込みに沿ってザックが並んでいて、最後尾の男性が、ザックの順番がバスの乗車順になると教えてくれたので、他の人たちにならってザックを置いた。

すぐに次から次へと乗客がやってきて、ザックの列がどんどん伸びていった。バスに乗れない人も出るのでは、と思ったが、同じ行き先のバスが3台続いてターミナルに入ってきた。私たちもザックを取り上げ、一列に並んで待っていたら、係員さんから1台目のバスに案内された。

バスは定刻に甲府駅前を出発した。その少し前から車内で運賃の支払いが始まり、同乗の係員さんが乗客1人1人に行く先を尋ねながら、運賃を受け取っていった。お金を払うと切符を渡してくれるのだが、いちいちパチン、パチンと切符にハサミを入れるのが珍しかった。ほとんどの人が終点の広河原(ひろがわら)まで行くようだ。夜叉神峠の入り口で降りるのは、私たちを含めて数人だった。ザックの様子を見ても、広河原から北岳を目指す人が多そうだ。

甲府の市街を抜けてしばらくすると、道が登りになった。町はすぐに終わり、照明の数が急に減った。山の中に入ったようだった。急カーブが続く。黒々とした木々の上に、大きな明るい星がいくつも見えた。

甲府駅を出発して1時間10分後の午前5時10分、予定通りにバス停「夜叉神峠登山口」に着いた。バスはこの先、南アルプス林道を通って広河原まで行くのだが、毎年、この林道ではマイカー規制が行われ、バスやタクシーなど特別な車両以外は通行できない。バス停のすぐ先に、規制区間が始まる「夜叉神ゲート」があり、バスは5時半の開門までそのまま待機することになる。広河原までさらに1時間かかるので、洗面所もある夜叉神ゲートは、広河原まで行く人にとって、ひと息入れるのに都合のいい場所だろう。

さて、バス停から甲府方面に少し戻った左手に、夜叉神峠登山道の入り口がある。標高1,380m、秋の高地では吐く息が白くなる。「まだ10月なのに」は、平地の感覚に過ぎない。じっとしていたら、足元からしんしんと冷えてきた。準備をしながら体を動かし、夜明けの光が差すと同時に登山を開始した。

夜叉神峠の登山道入り口付近。お店の先に、広河原方面行きバスの停留所と洗面所がある。そのさらに先に夜叉神ゲートがある。帰りに撮影。

夜叉神峠登山道

登山道入り口のすぐ近くに、甲府方面行きバスの停留所がある。後ろの看板「家族は、無事で帰るのを待っています」、その通りだよね。

この標識の後ろが登山道だ。小さな東屋に、登山計画書を入れるポストが設置されていた。写真に見えている、黄色い四角いものがそのポストだ。帰りに撮影。

書体も絵もなかなか怖い。私たちを含め、熊よけ鈴をつけている人が何人かいた。

山道の前半は、針葉樹の斜面に開かれたジグザグ道だ。切り倒された木がたくさん転がっている。

え〜、まだ半分?もう3時間くらい登っているような・・・。

後半、山道は広葉樹に覆われるようになった。紅葉が始まった木も。気(木)が早いね。なんちて。

帰りに撮った写真。行きは苦しくて、このでっかい字も目に入らなかった。

やっとここまでたどり着いた。しかし、登り坂がきつく、「約3分」どころか、もっとずっと長く感じた。

無事に登山を終え、正午、甲府駅南口のバスターミナルに戻ってきた。「6番」は芦安(あしやす)方面行き路線バスの乗り場だが、夜叉神峠・広河原方面行き登山バスもここから出発する。

植物

真っ赤に色づいたマムシグサ。茎にマムシに似た模様があるので、この名前になったとか。有毒らしい。

ツクバトリカブト。有名な毒草・トリカブトの仲間で、やはり有毒だそうだ。

虫こぶではないかと思う。このような薄緑の実のようなものを2つ、または3つくっつけた枯葉をいくつも見かけた。

とろろ昆布みたいなサルオガセという地衣類が繁茂して、お化け屋敷と化した枯れ木。

サルオガセの仲間

サルオガセの仲間、ヤマヒコノリ。地面に落ちた枯れ枝についているのを、よく見かける。

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