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ユカタン 石の都

メリダ
Merida

「ユカタン 石の都」もくじ

ソカロ Zocalo

ソカロ
 ↑緑濃いソカロ

フランシスコ・デ・モンテーホ率いるスペイン軍がユカタン地方を征服し、マヤの街にメリダを建都したのは、1542年のことだった。メキシコの他の多くの都市のように、スペイン人は中央公園の「ソカロ」を作り、行政機関や教会など、統治に必要な施設をその周りに集めた。現在もメリダはソカロを中心に発展し、ユカタン州の州都として、百万の人口を抱えるメキシコ有数の大都市となっている。

ソカロを目印に地図を眺めると、現在地と目的地との位置関係が把握しやすい。市内のあちこちに公園があるが、枝先が歩道を覆うほど木が大きく育った所は、そう多くない。前方にこんもりしたソカロの大木が見えてくると、知った場所に帰ってきたのだとほっとした。

四方を取り囲む道路はひっきりなしに車が走っているし、公園の内外に人通りが絶えることがないというのに、ソカロはいつも鳥たちのさえずりに満ちている。

ソカロ周辺観光

メリダ到着の翌朝、情報収集のため、州庁舎の入り口にある州立観光案内所へ行った。遺跡までの交通手段や、遺跡以外のユカタンの名所について教えてもらったのだが、案内所の人から、「あと30分後にソカロ周辺ツアーが始まるから、ぜひ参加してみてください。無料ですし」と勧められた。旅行前はマヤの遺跡にばかり目が向いていたが、スペイン人到来以降の、歴史ある建物を見て回るのもおもしろそうだったので、喜んで参加した。

ツアー参加者は、州庁舎のすぐそばの市庁舎の前に、9時30分に集合とのことだった。日陰で待っていると、観光客らしい姿がちらほら集まってきた。やがてガイドさんがやってきて、私を含めて合計7名のグループを連れ、出発した。スペイン語と英語の説明を聞きながら、市庁舎、モンテーホの家、カテドラル(教会)、州庁舎の順で歴史的建物を見学するという、文字通りのソカロ一周ツアーだった。終了は正午近かったから、たっぷり2時間かかったわけだ。有意義なこの催しが無料とは、なんともラッキーだった。

市庁舎モンテーホの家
↑1735年に建てられた市庁舎↑ユカタン征服者モンテーホ総監の邸宅。メリダ建都の1542年に建つ。現在、内側はBanamex銀行になっているが、一角には扉や家具が当時のまま保存され、博物館として見学できる。庭園も美しい。
MACAY美術館とカテドラル州庁舎
↑カテドラル(左)と、現代ユカタンの芸術作品を集めたMACAY美術館。スペインの征服者によって、付近一帯のマヤのピラミッドが破壊され、その石がカテドラルの礎石として使われたという。↑州庁舎。1892年に建てられた。フェルナンコ・カストロ・パチェーコによって描かれた多数の壁画が、ユカタンの苦難の歴史を今に伝える。

商店街

商店街の北西角
↑広い商店街の北西角

ソカロから南東方向に少し歩くと、大きな商店街に出る。ユカタン中の人が集まっているのではないかと思うくらい、朝から晩まで買い物客でにぎわっている。

地元の夕ご飯が食べてみたくて、西日のまぶしい中、暑いのを我慢して、人混みと土ぼこりの商店街をさまよったのだが、不思議なことに、食べ物を扱うお店がほとんどない。あっても道端のくだもの売りか、ちょっとした食材を売るお店くらいで、おもちゃ屋、アクセサリー屋、洋品店、靴店といった、ンまいものとは縁遠いお店ばかり。結局、その日はあきらめたのだが、これだけ大きな商店街なのに、コメドール(食堂)ひとつ見つからないのは、どう考えてもヘンだった。

次の日も、またその次の日も、懲りずに商店街を探索してみたのだが、ファストフード店みたいなもの以外、食べ物屋さんを見つけられなかった。それもそのはず、メリダ市民の、そして、空腹観光客の私のお腹を満たす食材店とコメドールは、商店街の南東部、ルカス・デ・ガルベス市場に集結していたのだった。

ルカス・デ・ガルベス市場 Market Lucas de Galvez

コンクリートの建物に開いた入り口に立ち、奥をちょっとのぞき込んだら、色とりどりの楽しげな品物が見えて、あれよあれよという間に中に引き込まれた。

ベニヤ板の台の上には、おなじみのマンゴーやバナナに混じって、見たこともないくだものが積み上げられている。どのお店も皮の一部をむいて果肉を見せ、品物の良さを競っている。

カボチャといえば、表面に深い溝が入ってデコボコという記憶があるが、日本のスーパーマーケットに、表面がなめらかで料理しやすいカボチャばかり並ぶようになったのは、いつからだろうか。メリダの市場の野菜売り場には、あの昔懐かしいカボチャの小さいのがたくさんある。

メキシコ人の大好物のトウガラシも、様々な色、形、大きさのものが盛られている。見た目は小ぶりのカラーピーマンだけど、かじったら・・・そんな勇気はもちろんないぞう。

市場の中を進んでいくと、少しずつ磯臭くなってきて、売り物を置く木の台が白いタイル貼りに変わった。台の上にはぬめぬめ、つやつやの魚が横たわっている。カリブ海の鮮魚が集う魚市場だ。ブツ切りを待つ小さなサメ、コッド(ハタ)、エイ、氷漬けになったピンク色の小エビの塊。ナタのような大包丁を振るうお兄さんたちから、「オッラっ!」(やあ!)と威勢のいい声がかかる。

念願のシーフード・トルティージャ

魚市場の隣には、シーフード・トルティージャ専門のコメドールが集まっている。本場メキシコで、具が肉ではないトルティージャ、それもシーフード版をぜひとも食べてみたかったので、空いた席にかじりつくように腰掛けた。お店の人が、10種類ほど並んだ具について1つずつ説明してくれたが、当然、スペイン語なので、ほとんどの具は小エビが基本であること、1皿だけタコのタコ墨和えがあることくらいしかわからなかった。

このお店のトルティージャがおいしいことは、お客さんの数が証明してる。私の知りたいことはただ1つ、「辛いか、辛くないか」だけである。これぞと思う具を指さして、「ピカンテ?」(これ、辛い?)と聞いてみて、「ノ・ピカンテ!」(ううん、辛くないよ!)という答えが返ってきたものを注文した。オレンジ色のソースのかかったぷりぷり小エビがこぼれんばかりに乗った、きつね色のトルティージャ。指先で端を持ち上げて、ぱくっ・・・う、うま〜。でも、ノ・ピカンテのはずなのに、けっこうピカンテ。メキシコの人にとっては、何てことない辛さなんだろうね。好みの具のトルティージャ4つセットと、高さ20cmほどもある器になみなみつがれたパイナップルの生ジュースとで、38ペソだった(456円)。

ところで、写真を撮られるのをいやがる先住民もいると聞いたので、地元の人の大勢集まる市場には、カメラを持って行かなかった。ちょっと残念ではあるが、市場の写真が1枚もないのはそうした理由からだ。

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