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 映画"Latch Drom"評 

映画"BENGO"の監督Tony Gatrifの、1993年の作品。BENGO、Latch Drom、Gadjo diloの3作品は、「ジプシー3部作」とも呼ばれている。Gajo diloは残念ながら見たことがないが、アンコール上映が決まったようなので、見に行くつもりだ。

BENGOが物語であるのに対して、Latch Dromはドキュメンタリーだ。ジプシーたちが、 どのようにしてインドのラジャスターン地方を出発し、スペインのアンダルシア地方にたどり着いたかを描いている。

インド、ルーマニア、その他の地域、そして、ジプシーが最後にたどりついたスペインでは、明らかに音楽のスタイルが違う。彼らは移動先の、その場その場で生き残っていくために、その土地の文化や宗教を取り入れていったからなのかもしれない。しかし、何らかの共通性を感じることがある。それは、音楽のちょっとしたフレーズであったり、ダンスの1シーンでしかないのだが、明らかにジプシーとして共通する魂を感じさせる。

何でも楽器にしてしまう彼らの才能の豊かさ、いろいろな人を幸福にしてしまうその音楽、迫害や差別の歴史、その差別から湧き出るジプシーたちの叫び。Latch Dromはそういったものがすべて感じられる、圧巻の映画だった。

yo!!
18, August, 2001

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